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【不帰ノ嶮】テン泊装備で縦走。難易度は?遭難危険な事故箇所あり!

北アルプス

北アルプス後立山連峰の白馬岳~唐松岳の間に不帰キレット(不帰ノ儉(かえらずのけん))という難所があります。
今回テン泊装備一泊二日で行ってきましたのでその感想。そして最後にタクシーの期間限定お得情報もお知らせしますので、ご覧ください。

わたしは13年ほど前に、妻と富士山に登りました。
その際に、道具を一式揃えたのですが、「これでやめてしまってはもったいない」と思い、改めて登山を始めました。人に教わったり、自分で勉強する内に、奥深さを知り今では夢中になっています。

不帰(かえらず)キレットとは

キレットとは山と山を繋ぐ尾根が激しく切れ落ちている箇所をいいます。

そして日本には三大キレットと言われるものがあります。
大キレット」「八峰キレット」「不帰キレット」です。
全て北アルプスにあります。

三大キレットの特徴
  • 不帰キレットは、高度感がありますが距離は短い
  • 八峰キレットは高度感はさほどですが、距離が長い
  • 大キレットは高度感があり、距離も長い

今回の山行計画

2023年9月2日~3日の1泊2日で当初、猿倉から大雪渓経由の白馬岳へ行き、杓子岳、白馬鑓ヶ岳と白馬三山縦走をして天狗山荘でテン泊。翌日、不帰キレット通過し唐松岳から八方池へ下山を計画していました。

しかし、今年の猛暑の影響により、8月27日。まさかの8月中に大雪渓が通行止めとなりました。

そこで、猿倉から白馬鑓ヶ岳へ登り、天狗山荘1泊。翌日、不帰キレットを通過し唐松岳で、体力・時間・天気次第により五竜に向かう計画をたてました。

そして結論、五竜へ向かいましたが五竜岳がガスの中。体力の限界。という理由からそのまま遠見尾根からアルプス平へ下山しました。

活動時間15時間48分。距離25.4km。登り3004m、下り2715m歩いた山行です。

山行1日目

駐車場

猿倉から入山予定ですが、車をどこに駐車しておこうかまず考えました。猿倉は山の中なので、下山後に車の回収が遅くなるとバスが無くなってしまう恐れが。ということで、八方に車を駐車し、バスで猿倉へ向う計画をたてました。

AM5:00、八方第2駐車場(バスターミナルの道向かい)に駐車しました。大雪渓が通行止めのせいか、車は少なかったです。※猿倉の駐車場はガラガラでした。

始発の6:00頃発のバスに乗ろうと支度をしていたら、乗合タクシーの方に声を掛けて頂きました。どうやら5人集まったら発車したかったようで、あと1人探していたようです。運良く乗せて頂き、料金もバスより安く、時間も5:30に出発したため早く、幸先のいいスタートをきることが出来ました。

猿倉入山

やはり大雪渓の通行止めのせいか、猿倉荘が静かでした。例年でしたら朝6時には人が凄いいるのに。。

それでは登山届を提出し出発です。

少し進むと大雪渓と鑓温泉ルートの分岐があります。
大雪渓ルートはバリケードで通行止めとなっています。

白馬鑓温泉

何度も沢を越え進むと白馬鑓温泉小屋が見えてきます。ここは日本で標高が2番目に高い温泉で、冬は雪崩が起こる地区のため、解体する小屋となっています。

温泉は入浴料1500円のため、まだ山行途中だしやめました。
折角なので入ってみたかった。。

その代わり、無料の足湯に浸かり、絶景を眺めながら小休憩させてもらいました。

ここの小屋は飲料水が無料でした。下から担ぎ上げる水を500ml減らして、ここで汲ませてもらえば楽できたな〜と思いました。

白馬鑓ケ岳

鑓温泉小屋からザレた道を登ること、2時間30分。
(このコースは意外と疲れました。)

天狗山荘と白馬鑓ヶ岳への分岐に出ます。わたしはここでザックをデポし、白馬鑓ヶ岳に登りました。剣岳、高妻山、海や能登半島まで見えて素晴らしかったです。

天狗山荘テン泊

そこから程なくして天狗山荘到着です。
建て替えたばかりの山荘でとても綺麗です。

雲海を見ながらのテント設営は気持ちがいいです。

水は雪解け水で無料でした。このまま飲めるため、今シーズン水不足の山小屋が多い中、ありがたいです。

しかし、この水源の雪も大分溶けてしまっているため、いつまでもつか?
また大雨が降ったあとは、濁ってしまい飲用水には出来ないということ。確認、周知して山荘にお世話になりたいですね。

18:00頃太陽が沈みます。
山荘から不帰キレット側の尾根に登ると、この絶景を見ることが出来ました。
明日も早いため、太陽と共に19:00就寝です。

山行2日目

本日は長い山行予定のため、夜明け前に出発します。4:00に起き、朝食を食べ身支度をし、テント撤収したら出発です。
天狗の頭には20分も歩けば到着します。
この時点で5:15。

まだ夜明け前ですが、10名以上はここでご来光を待っていました。

わたしは待たずに進んでいたため、尾根上でのご来光です。
今日は天気がよくいい1日になりそうです!

(ご来光待ちをしている方から聞きましたが、熊がいたそうです。。ここは標高2,700m。熊にとっては関係ないですね。)

天狗の大下り

ここからがいよいよ気を引き締めていく「天狗の大下り」です。最低鞍部(不帰キレット)に向かい、200m〜300m程を一気に下ります。

ポールや、サコッシュ等邪魔になりそうなものはザックにしまいましょう。岩場で物が引っかかってバランスを崩し滑落。なんてことがない様に徹底します。

また、この天狗の大下りですが、Youtube等で「ここはヘルメットはまだいらない」という方がいらっしゃいますが、後ろの人が落石させる可能性がある為、被ることをおすすめします。

今回、「ラク」と叫んでいる方いましたから。

ここが遭難危険個所

そして、この天狗の大下りの取付き部がわたしは一番肝を冷やしました。

核心部と言われる場所よりも、意外とこの天狗の大下りの鎖のない岩場が、道迷いや滑落による危険な箇所だと思います。

道迷い多発地点

足元はガレていて、鎖のない岩場の箇所。
Youtubeでも道迷いの箇所として有名なポイントです。
もし間違えて進んだら、ルート外は足元がザレているため滑落し、きっと助かりません。

またこの地点による道迷いによる遭難事例が過去にありました。
その事例が本となり出版されています。
興味があったら読んでみてください。

以下に、本の内容を一部抜粋したものを記載します。

およそ1時間後、「ここより天狗(てんぐ)の大下り」という標識が現われたので、写真を撮り、この山行のために購入したヘルメットを被って下りにとりかかった。だが、その直後、鎖場を過ぎたところでミスをした。登山道は斜面を左方向に巻くように付けられているのだが、直線方向に続いているガレ沢に入り込んでしまったのである。

天狗の大下りというのは、天狗ノ頭から不帰キレットへ向かう途中、標高差約300メートルの急斜面を一気に下る難所で、岩井の頭には「とにかくひたすら下っていくんだ」という先入観があり、左へ巻いている登山道はまったく目に入らなかったという。

登山道を外れて約1時間後の7時44分、ルートを間違えたことにはまだ気づかず、家族に「厳しいところだよ」というメールを送信した。このときまではまだ電波が届いていたが、その後は圏外となり、携帯電話はまったく使えなくなった。

下っていったのは、岩がガラガラと堆積する急峻な涸れ沢で、険しいわりには鎖やハシゴも付けられていなかった。「北アルプスの一般ルートというのはこんな厳しいものなのか」と思いつつ、さらに2時間近く、ジグザグを切りながら夢中になって下り続けた。

しかし、ふと顔を上げたときに、左手に特徴的な山の稜線が見えた。それは、計画を立てるときに何度か写真で見ていた不帰ノ嶮と不帰キレットそのものだった。このときに初めてルートを間違えていたことに気がついた。

https://www.yamakei-online.com/yama-ya/detail.php?id=3168&pg=2

このように実際に遭難事例があるため、行かれる際はルート確認をしっかりとして、周囲を確認しながら進むことをおすすめします!

ハチワレ
ハチワレ

不帰ノ嶮に行かれる際は、頭の片隅に入れておいてください。

不帰Ⅰ峰

天狗の大下りから最低鞍部(不帰キレット)まで下ると、いよいよ不帰Ⅰ峰です。
険しい道に見えますが、ここは尾根づたいではなくトラバースしていくため、見た目以上に安全です。

同じペースで歩いていた方と仲良くなり写真を撮って頂きました♪

傾斜も緩く高度感は感じません。
鎖もありましたが、三点支持でしっかり進めば大丈夫です。

不帰Ⅱ峰北峰核心部

写真にすると、絶壁を行く様に見えますが、そこまで高度感も感じず、すんなり行けました。

有名な空中ハシゴも鎖・足場がしっかりしていて、安心して進めます。
ここまでで不帰の核心部というところは終わりですが、最後まで気を抜かずに頑張ります。

不帰Ⅱ峰北峰登頂。

核心部通過した感想

やはり印象として、上りで通過すると難易度は低いですね。
逆に唐松岳から下りでここを通過すると、下が良く見えて高度感を感じるため、難易度は高くなります。

不帰Ⅱ峰南峰

不帰Ⅱ峰南峰頂上直下に有名な落ちない石ありました。

この南峰は展望が良く、気持ちがいいです。

不帰Ⅲ峰

Ⅲ峰はトラバースするため、頂上に行かずいつの間にか通過しました。

唐松岳

そこからもう少し登ると、唐松岳頂上です。
人が多くとても賑やかでした。
不帰ノ儉、「帰らず」にならず良かったです。

牛首

続いて五龍岳方面に向かうとすぐに難所の、牛首があります。
しかし、ここの足場はしっかりしていて安心できます。
不帰と違い岩が滑らないため、特に危ないと思った箇所はありませんでした。

牛首を超えるとあとは稜線のコースです。
ここからはポールを出し、ヘルメットをしまい歩いていきます。

五竜山荘

白岳に着く頃、五竜山荘に到着しました。本来この雲の先に五竜岳が見えるのですが、今日は、ガスの上りが早く視界が無くなってしまいました。そして、自分の体力も限界を迎えていたこともあり、このまま、遠見尾根づたいに下山をすることにしました。

遠見尾根

正直なところ、下山だと思いこの遠見尾根を舐めていました。
最初こそ鎖の岩場があり、尾根づたいに稜線を歩きます。
登り下りのアップダウンの連続で、疲れた足にはかなり辛いコースでした。

この辺りでは、五竜岳に登らなくて本当に良かったと心底思いました。

アルプス平

ようやく着いた頃は、この自然園すら歩きたくないほど疲弊していました。

白馬五竜テレキャビン駅に着いた頃には、ソフトクリームを食べて休憩しないと動けないほどでしたね。

白馬五竜テレキャビン乗車時に冷たいおしぼりを頂き、とても気持ち良かった!
ありがたいですね♪

帰りはエイブル白馬五竜スキー場から八方第二駐車場へ戻ります。

感想

日本三大キレットの一つ「不帰ノ儉」。
雨上がりの岩が滑るときにさえ行かなければ、基本が出来ていること前提で難易度はそれほど高くありません。

さてその「基本が出来ていること」とはいったいどんなことか?というとそれは以下の3点になります。

不帰ノ儉に挑戦するための「基本が出来ていること」3点
  • 三点支持がしっかり出来ること。
  • ガレ場で落石させずに歩けること。
  • 岩場の経験を積んであること。

この3点がしっかり出来ていると、難易度はそこまで高くないですよ。

それではそれぞれ解説させていただきます。

三点支持がしっかり出来ること

鎖に頼りすぎると、体が振れてしまいます。
鎖は片手で添えるだけ。岩を三点支持で登りましょう。

そして、ボルダリング技術ですが岩場は足(足の力)で登ることに意識しましょう!
人間の筋肉量は足の方が腕よりも大きいので、圧倒的に楽ですよ♪
無駄な力は使わず、体力温存して登りましょう!

ガレ場で落石させずに歩けること

今回の不帰キレット全般は、岩が滑りやすい印象でした。
また「ラク」と掛け声を何度か耳にしました。
落石は他人へ迷惑が掛かります。
歩く際地面をつま先で蹴らずに、歩幅を狭くベタ足の足裏で歩けるようになることが大切です。

岩場の経験を積んであること

奥穂高岳や宝剣岳のような一般ルートの岩場が怖くなければ大丈夫です。
高所恐怖症で動けなくなってしまうと、進むことも戻ることも出来なくなってしまいます。
鎖場は特に一人ずつしか進めません。
このようなことがあると大渋滞を起こし、多くの方に迷惑が掛かります。
恐怖心が無くなる経験をしてから挑戦することをおすすめします!
※参考までにわたしは前穂高岳・奥穂高岳・宝剣岳・戸隠山の岩場を経験してから挑戦しました。

ただし、結局のところ自己責任になるため、やはり最初は荷物を軽くし小屋泊にする事が何より安心。そして無理をしないことがとても大切だと思います。

期間限定タクシーお得情報

2023年9月末日まで、実験的に乗合タクシーに無料で乗ることが出来ます。

白馬 夏のデマンドタクシー運行について
八方尾根の公式HP

アプリを登録し、住所氏名を入力し、今いる地点と目的地を選ぶと何分後にお迎えが来ます。と連絡が来ます。タクシーが来たら、画面を横にスクロールして画面を運転手さんに見せると乗車出来ます。※やってみるとすぐにわかります。

白馬村内のタクシー会社のそれぞれ3台づつが登録してあり、国の補助金を利用し営業出来るように、今実験的にやっているそうです。

なので多くの方が利用してくださると、補助金の対象となるので、地元タクシー会社も潤い、私達ユーザーも得をするというシステムが出来上がるのです。

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現に五竜エスカルプラザ(アルプス平下山口)から白馬駅や八方尾根に帰る手段はタクシーが有力でしたので、無料で利用出来るとありがたいですよね。

ヘルメットは必携

今回の不帰キレット山行では、ヘルメットをほとんどの方が着用していました。
しかし、牛首は着用率が低かったです。
ヘルメットは、自分の滑落事故から身を守る以上に、他人の落石から身を守ることの方が多い気がします。
「自分の身は自分で守る」を意識して、是非着用して頂きたいです。

上のヘルメットはわたしも愛用しています。
Grivel(グリベル)はクライミングメーカー。
そして何より大き目の作りの為、頭が大きいことが悩みの方も着用出来ます!
是非試してみてください。

以上、皆さんの参考になると幸いです。

ご閲覧頂きありがとうございました。

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