関東からもアクセスが良い南アルプス。3,000m級の山が連なる人気の山域。その中でも標高が2番目の北岳。4番目の間ノ岳。15番目の(西)農鳥岳を1度に歩くことができる人気ルート「白峰三山縦走」。
特に北岳はとても人気のある山で、関東圏からもアクセスが良いため多くの方が訪れます。
しかし危険箇所、注意点を知らずに登ると、大変な事態にもなりえます。
今回はそんな危険箇所や注意点について解説します。また実際に行ってみた感想や、おすすめポイントもまとめます。
早速ですが、以下が注意する点となります。
- 疲労からくる道迷いや怪我
- 行動時間が長く、水不足注意
- 携帯の電波が無い
まずは南アルプスの特徴から解説します。
南アルプスの特徴
南アルプスは北アルプスと違い、険しい岩稜帯は山頂付近にしかありません。
特徴として他の山域に比べ、自然をより身近に感じ取れるほど山深く、また山ひとつひとつが大きいです。
実際に行くとわかりますが、山の上から見た下界の街までの距離が遠い。。自然の中に入っているという実感が湧きます。
そのため、他の山域に比べても行動時間が長くなりがち。そのため主に疲労からの道迷いや怪我のリスクには注意したいものです。
道迷い
実際に縦走をしてみても、しっかり赤テープや白ペンキでマークはしてありました。しかし疲労による注意力散漫になると、見落としがちになります。
以下が、気になったポイントです。
北岳から間ノ岳間はルート表示少なめ
白峰三山はさすが人気ルート。道迷いしそうな箇所はありませんでした。しかしこのルート上で唯一、北岳〜間ノ岳間の岩稜は白ペンキのルート表示が少なめでした。
違うルートに入ると、浮石が多いことがあります。そこに手や足をかけて転落事故。そんなことにならないように注意して下さい。
間ノ岳から農鳥小屋間のルート表示は親切
北岳から間ノ岳へ向い、間ノ岳山頂を越えた途端にペンキの表示がわかりやすい。派手な色による丁寧なペンキのルート表示がしてありました。
怪我のリスク
白峰三山ルートの一般的に紹介されているモデルコースは二泊三日となっています。
しかし実際に白峰三山縦走を計画する方の多くは一泊二日が多い傾向にあります。
その場合、2日目の行動時間が10時間と長くなります。(北岳→農鳥岳コース)そのため、疲労による転落事故。また道迷いが考えられます。
実際にこんな疲労によるケースに立ち会いました。
北岳登山ピストンの方でしたが、下山中に崖側を歩いていた方が、フラフラとしバランスを崩し2メートルほど崖を転落した事例に出くわしました。4人パーティーでの登山のようで、他の方々が救助し大事には至りませんでした。
北岳は急登が続くため、とても疲労します。
まずは「自分の体力に合った山選び」をし、事前にトレーニングで体づくりをしてから登山に挑みたいものです。
水不足
前項目でも述べましたが、南アルプスは山深く、行動時間が長くなりがちです。わたしの山仲間も北岳は足が痙攣してしまい大変だったと言っていました。
北岳は意外と急登が続き、水を沢山消費します。夏の暑い日は特に多めに水を持ち歩きたいですね。
以下が登山中に必要な水分量の計算式です。
登山中に必要な水分量【ml】=自重(体重+ザック)【kg】×5【ml】×行動時間【h】
例えば体重60kg、ザック10kg、行動時間が6時間の場合
70x5x6=2100
2.1L必要とわかります。
また水だけを摂取していては足の痙攣を起こします。対策としてはミネラルを含むスポーツドリンクが有名です。
さらに足の痙攣対策として、マグネシウムを摂取すると痙攣を起こしにくなります。
実際にわたしがいつも利用しているエナジージェルを紹介します。マラソンランナーにも愛用されていて、自信を持っておすすめします。
最初は色々な味を試してみることをおすすめします。
個人的にレモンが美味しかったです。
今回ハイペースで白峰三山縦走をしてきましたが、終始足が痙攣することなく終えることができたのでおすすめです。
携帯電波
山深いことが理由になりますが、やはり電波の無い場所はこのルート上にも存在します。少しの区間でも繋がらない場所があると不安になりますよね。
しかし対策はあります。それはdocomoの電波を利用することです。他回線は途中電波の無い区間がありますが、docomoに関しては終始電波がありました。
地元早川町で改善に取り組みがされているようです。
実際に行ってわかったこと
ここからは実際に登ってみた感想と、おすすめのポイントを紹介します。
1日目
奈良田駐車場
始発5:30発のバスに乗るために、4:30に到着するよう車で向かいました。実際には5:00到着で駐車場にはギリギリ駐車することができました。
詳しい駐車場解説の記事はこちらをご覧下さい。
広河原
始発バスにて広河原に到着します。その頃には芦安駐車場からきた登山客が大勢いました。
また準備運動をしっかり済ませましょう。すぐに急登がはじまります。
登山開始
広河原からはまず吊り橋を渡り、対岸へ渡ります。するとすぐに登り坂がはじまります。これがなかなかキツい。印象としては、燕岳よりもキツく、八ヶ岳の阿弥陀岳への急登に似た感じです。思っていたよりも疲れます。。
白根御池小屋
急登を登りきると、白根御池小屋に到着します。
なんとこの山小屋ではジェラートが食べられます!こんな山の中で、ですよ!ありがたい!そして美味しい!!つい美味しくて長居してしまいました。。しかもお支払いにPayPayやクレジットカードなどキャッシュレス払いが使えるので、小銭が増えずありがたいです。
お花畑
白根御池小屋から北岳肩の小屋までの道は、通称お花畑と呼ばれています。様々な花が咲いていて綺麗でした。
また鹿による食害があるため、柵で囲われている場所がありました。こんな山奥まで鹿は花を食べに来るのかと驚かされました!
また奈良田駐車場付近でも鹿に遭遇しましたので、やはりこの辺りには鹿が生息しているんだなと実感します。
北岳肩の小屋
ちょうど標高3000mまで登ると北岳肩の小屋に到着します。ここは民営という事で、とても特徴的でおしゃれな小屋となります。
メニューをはじめ人気な理由がわかりますね。
みんなこんな写真も撮ってます。おすすめですよ♪
北岳
肩の小屋からコースタイムで35分登ると百名山「北岳」に着きます。ここから先は北岳山荘方面に向かう方のみになるため、少し登山者が少なくなります。
ざれた道を進むとようやく北岳山荘が見えてきます。
この位置からの北岳山荘の構図が以前TBS系列で放送された「サマーレスキュー〜天空の診療所〜」のOPテーマSuperfly「輝く月のように」冒頭のタイトルバックの景色です。
2012年に放送された、向井理主演でとても人気がありました。
気になる方はU-NEXTやHuluなどでご覧になれます。
北岳山荘
白峰三山縦走の方や北岳・間ノ岳のツアーの方など、多くの方が宿泊になる北岳山荘。わたしもこちらでテント泊をしました。
到着が12:00くらいだったため、まだテン場はガラガラでした。後ろがハイマツ、前が絶景の少し高台にテントを張りました。今回のテントはルナソロ。風予報では今晩はあまり吹かないとのことだったので、絶景側に入口を向け張りました。(この判断が夜中に悔やまれました。)何となく区画されているスペースは広めだったので、ルナソロでも問題ありません。またペグは基本刺さりません。北アルプス同様かなり気合いを入れて打ち込むか、石を使うかですね。今回はピンペグを持って行ったので、地中に石が無ければ問題なく使用できました。ピンペグおすすめです!
2日目
深夜、ゴーゴーという風の音に何度も目覚め、3:30に起床。外は暴風のようです。天気予報は曇りで風予報ではそんなに風速は強くなかったはずでしたが。。とりあえず朝食を済ませ4:30テントを撤収し出発です。
しかし風が強い。そしてガスで視界ゼロ。不安の中間ノ岳へ進みます。出発時間が周囲の人と合わなかったのか、終始1人で歩きました。正直立ってられないほどの暴風と、視界ゼロでの行動はメンタルやられます。ダウンを着て暖かかったので、進みましたが、寒ければ行動中止していましたね。(7月下旬外気温10℃)
そんな中でも、さすがは人気の間ノ岳。途中ソロの方やツアーの方々など、数人と話すことができたので、安心とポジティブになることができ無事に間ノ岳に到着しました。
間ノ岳
登頂!と思いきや、やはりガスで真っ白。「富士山見たかったなー」と残念な気持ちにはなりましたが、長居はせず先へ進みます。
ここからは登山客が減ります。農鳥岳方面へ進む方は少ないですね。
そして驚くことに、間ノ岳〜農鳥岳間の目印のペンキがとてもわかりやすい!噂に聞いていた名物オヤジの印象からは想像できない優しさを感じました。ガスガスの中でも安心して進めます。
農鳥小屋
程なく歩くと農鳥小屋です。有名なオヤジの山小屋です。このドラム缶の上に座り、双眼鏡で登山客を眺め、歩き方にダメ出しや怒り出すという有名な山小屋です。。
変な緊張感の中、気を張り到着しましたが、オヤジはいないよう。こうともなれば、せっかく来たし話したかったなーとも思えます。
小屋は昔ながらの山小屋という感じ。テント場も点在してあります。遠い場所だとトイレまで遠いかな?と言った感じです。しかし、北穂山荘や氷池山荘のように高低差は無いので良しとしなければいけませんね。
農鳥岳
農鳥小屋から少し歩くと西農鳥岳に着きます。正直農鳥岳かと思いました。標識も立派でしたしね。。(標高はこちらの方が高い)
そこから特に危険箇所もない道を歩くと農鳥岳に到着します。
農鳥岳からは奈良田方面に下ります。がここからが長いロングコース。下りのコースでコースタイムが9時間。気合いを入れて進みましょう!
このあたりでガスが消え、ようやく富士山とのご対面ができました!
風が強い分、ガスが抜けるのも早かった。
途中に鐘があります。ここは昔道迷いで遭難してしまった遺族の方が2度と同じことが起きないようにと建立なさったそうです。熊よけの意味もこめ、鐘を鳴らして先へ進みます。
かなり下ると、そこからは平らにトラバースする道が続きます。山から山へと移動している感じですね。
大門沢小屋
ようやく大門沢小屋に到着です。いや、本当に長い道でした。この疲れをこの小屋で癒しましょう。こちらの小屋は水が豊富。そのキンキンに冷えた水の中にあるゼリーを頂きました。これが美味しい!少し休んですぐに出発しました。
ここからは沢沿いの道になります。
何度も沢を渡って、飽きずに楽しめます。
アスファルト道
延々下るとようやく里におりてきます。建物が見え、ようやく下山したと思いきや、ここからはアルファルト道です。個人的に苦手な道です。足が疲れるんですよね。しかもこの道が意外と長い。最後のひと頑張りと思い歩くと、初日にバスで通った「発電所」に到着します。あとはバスで通った道を、駐車場まで歩きます。
奈良田温泉「白根館」
駐車場へ向かう途中、奈良田温泉があります。ここは秘湯として有名な人気のお風呂です。この白根館に入浴しましたが、最高に気持ちよかったです!白根館の詳細はこの記事でも紹介しています。
まとめ
南アルプス人気のルート「白峰三山」。登山をはじめてから1度は行ってみたい!と思っていたコースを行ってみましたが、やっぱり最高でした!!
一般的には危険箇所は少ないのですが、なにせコースタイムが長く、疲労がたまりやすい。
一般的には二泊三日で紹介されているコースですが、健脚者や登山に慣れている方でしたら一泊二日でも十分大丈夫です!ぜひ挑戦してみてください。